北方謙三

愚者の街

愚者の街 (集英社文庫) by G-Tools(223頁より引用) 「生きのびたいんだろう?」 「自分の運を試してえ。いままで、人の運にへばり付いてただけだ」 「生き延びても、逮捕されるかもな」 「逃げるさ。そこまでが、運試しだ」[感想] 男である。 男しか解らな…

鎖 (文春文庫) by G-Tools(294頁より引用) 「女に苦しめられるには、いろんなことをやりすぎたよ、俺は」 「女を苦しめる男もいる、そういったでしょ」 「俺の恋人は、苦しんでいるとは思えんな」[感想] 芸能プロの社長が、昔裏切られた相棒を庇いながら進…

冬の眠り

冬の眠り (幻冬舎文庫) by G-Tools (298頁より引用) 棲んでいるのは、一対の雄と雌である。 二人は、のたうち回りながら絵を描き、どうしても満足できずにさらに苦しみ、しかしお互いの絵を二つ合わせると、なにか安心できるものが発見できるらしく、いがみ…

行きどまり

行きどまり (講談社文庫) by G-Tools (267頁より引用) 「くたばる場所。それが行き着くとこさ」 「おい、そんなこと考えてんのか、安?」 「人間は、みんなくたばるんだぜ。明日かもしれないし、一年後かもしれない。五十年後、六十年後かもしれない。百年…

水色の犬

水色の犬 (徳間文庫) by G-Tools (291頁より引用) 自分が溶けていきそうになる。そう思った。このまま、ニューヨークへなぜ行けないのか。行ったら、爺さんが怒りでもするのか。 仲間、だった。仲間は、死んでも仲間だ。仲間が殺されたということは、俺が殺…

白日

白日 (小学館文庫) by G-Tools (376頁より引用) 「川井さん、あんた、能面に救いを求めているのか?」 「救いかどうかは、わからん。君が打っている面に、私が求めているものはない、ということはハッキリ分かったが。それでも、激しく心を揺り動かされる自分が…